VALORANT配信と録画ツールの選び方と設定の基本
この記事の要点 ・録画ツールはエンコード方式・CPU/GPU負荷・無料範囲・向く用途の4軸で選ぶと、用途に合わない選択を避けられる。 ・VALORANTのような高fps競技用途では、NVENC等のハードウェアエンコード(GPU内蔵の専用回路にオフロード)がフレームレート維持の鍵になる。 ・全試合のVODレビューならOBS/ShadowPlayの長尺録画、好プレイの切り抜きならInstant Replay/クリップ機能が向く。用途で最適解が分かれる。 ・無料範囲は三者三様。OBSは機能無制限、ShadowPlayはGeForce GPU必須、Medalは共有アップロードに長さ制限がある。
VALORANTの上達において、自分のプレイを録画して見返すVODレビューは最も費用対効果の高い習慣のひとつだ。だが「録画したらfpsが落ちて撃ち負けるようになった」「保存しても容量を圧迫するだけで見返さない」という声も多い。原因の多くはツールの選び方と設定にある。この記事では、代表的な録画/配信ツールを共通の軸で1表に集約し、用途から逆算して選べる選定フレームを、公式情報に接地して整理する。
VALORANTの録画ツールはどれを選べばいい?
結論から言うと、用途で選ぶ。全試合を見返すVODレビューが目的なら長尺録画と画質を重視したOBSやShadowPlayの手動録画、好プレイの切り抜き共有が目的なら直前を遡って保存するInstant Replayやクリップ機能が向く。そして競技プレイ中のfps維持は、どのツールでもハードウェアエンコードを使うことが前提になる。まずは「自分が録画で何をしたいか」を1つに絞ると、選択肢は自然に狭まる。
代表的な無料ツールはOBS Studio、NVIDIA App内のShadowPlay、Medal.tvの3つだ。いずれも無料で使い始められるが、無料の意味する範囲とエンコードの仕組みが異なる。次の集約表で横並びにする。
OBS・ShadowPlay・Medalを1表で比較すると?
下表は、公開情報をエンコード方式・負荷・無料範囲・向く用途の4軸で1つに集約したものだ(出典は本文末)。一次実測値ではなく、公式仕様とコミュニティガイドに基づく整理である点を明示しておく。
| 項目 | OBS Studio | NVIDIA App / ShadowPlay | Medal.tv |
|---|---|---|---|
| 料金 | 完全無料・オープンソース | 無料(GeForce GPU所有者) | 無料(任意のプレミアム有料) |
| エンコード方式 | x264(CPU)または NVENC / QuickSync / AMF(HWエンコード)を選択。HEVC・新版でAV1対応 | GPU内蔵の専用H.264エンコーダ(NVENC)固定 | 設定でコーデック選択可(HWエンコード対応) |
| 負荷の傾向 | HWエンコード選択時は最小。x264(CPU)は高画質ほど重い | 専用回路にオフロードし最小(公式主張)。※実測は環境依存 | HWエンコードで低負荷寄り |
| 動作要件 | Windows/Mac/Linux。GPU不問(CPUエンコードも可) | GeForce GPU必須(GTX 600シリーズ以上)。AMD/Intel GPUでは不可 | PC/モバイル |
| 録画品質 | 制限なし(時間・解像度・透かしなし) | 最大4K・130Mbps | 最大4K・最大144fps |
| 無料範囲(ローカル録画) | 完全無制限 | 無制限(GPU所有が条件) | 最長20分・ストレージ上限は選択可 |
| 無料範囲(共有) | 制限なし(自前アップロード) | 制限なし | 共有アップロードは非課金2分(プレミアム10分) |
| 切り抜き機能 | なし(別途リプレイバッファ設定で代替可) | Instant Replay(直近を遡って保存) | クリップ(直近15/30/45/60/120秒、即時保存) |
| 向く用途 | 全試合VODレビュー・配信兼用 | 低負荷の常時録画・好プレイの遡り保存 | 切り抜きの即時共有・編集 |
要点は3つある。1つ目、OBSは録画機能に一切の制限がなく透かしも入らないため、全試合を録って見返すVODレビューの土台に最適だ。2つ目、ShadowPlayはGeForce GPUを持っていることが絶対条件で、AMD/Intel GPU環境では選べない。逆にGeForceユーザーなら、専用エンコーダを使うため低負荷で常時録画しやすい。3つ目、Medalは録画自体は無料だが「共有」に長さ制限がある。ローカルに最長20分録れても、非課金だと2分しかアップロード共有できない点は表で分けて捉えるべきだ。
なぜハードウェアエンコードがFPS維持に効くの?
直接の答えは、エンコード処理をCPUやGPUの描画部分ではなく、GPU内蔵の専用回路にオフロードするからだ。これによりゲームのフレームレートを維持したまま録画できる。VALORANTのように高fpsが勝敗に直結するタイトルでは、この仕組みの理解が選定の中核になる。
OBS公式KBは、ハードウェアエンコーダについて「Hardware encoders, as opposed to the included x264 software encoder, are generally recommended for best performance as they take the workload off the CPU.(ハードウェアエンコーダはx264ソフトウェアエンコーダと違いCPUから負荷を取り除くため、最良のパフォーマンスに推奨される)」と明言している。さらに「Modern hardware encoders provide very good quality video with minimal performance impact.(最新のハードウェアエンコーダは最小の性能影響で非常に良い品質を提供する)」とも記す。NVIDIA側もShadowPlayが専用ハードウェアエンコーダにより「records up to 4K resolution at 130 Mbit/s with minimal performance impact(システムへの性能影響を最小に4K・130Mbpsで録画)」と仕様で述べている。
ただし「最小影響」は公式主張であり、実測は環境依存だ。最新GPUでは1〜5fps程度の低下やほぼゼロという報告が主流である一方、構成によっては20〜25%のfps低下を報告するユーザーもいる。手動録画とInstant Replayで影響はほぼ同等とされる。つまり「専用エンコーダを使うツールはおおむね低負荷だが、自分の環境で必ず録画ありなしのfpsを確かめる」のが誠実な運用だ。設定全体でfpsを底上げする考え方はVALORANT画質と表示設定の最適化で扱っている。録画開始後にカクつきが出た場合の切り分けはVALORANTのfps低下とスタッターの対処を参照してほしい。なお、NVENCはOBS公式KBによれば第6世代(Turing/RTX以降)で最良、Intel QuickSyncはHaswell以降が推奨で、初期世代は品質面で不利になりやすい。
VODレビュー用の録画設定はどうすればいい?
要点は、固定ビットレートではなく品質基準のエンコード(CQPまたはVBR)を使い、コンテナはMKV、キーフレーム間隔は短めにすること。ただしこれらはOBS公式KBの数値ではなく、OBSフォーラムのコミュニティ推奨値であり、目安として扱う必要がある。公式仕様と混同しないことが大切だ。
OBSフォーラムのNVENCガイドや録画設定スレッドで紹介されている目安を整理すると次のようになる。これらは環境依存の概算であり、一次実測値ではない点に注意してほしい。
| 設定項目 | コミュニティ推奨の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| レート制御 | CQP(または VBR) | 固定ビットレートより品質と容量のバランスが良い |
| CQ値 | 15(最高品質)/ 18〜20(YouTube向けに十分クリーン)/ 20(高品質ベースライン) | 数値が小さいほど高品質・大容量 |
| コンテナ | MKV(後でMP4へremux) | 録画中クラッシュへの耐性 |
| キーフレーム間隔 | 2秒 | シーク(早送り/巻き戻し)とプラットフォーム互換性が向上 |
VODレビューはシークの軽さが命だ。キーフレーム間隔を2秒に短くしておくと、見返す際に任意のラウンドへ素早く飛べる。容量と画質のバランスはCQ18前後から始め、ストレージに余裕があれば15に寄せると良い。具体的な絶対容量(たとえば1080p60で何MB/sになるか)はフォーラム由来の概算で環境により大きく変わるため、ここでは確定数値を書かず、自分の環境で短く試し録りして実測することを勧める。実測値は順次追加していく方針で、現状は公式値とコミュニティ目安に留める。
録画したVODを「ただ眺める」だけでは上達しない。見返す観点を決めて構造化する方法はVALORANTのVODレビューの進め方で手順化している。録画は手段で、レビューの質が成果を決める。
切り抜きを残したい場合はどのツールが向く?
直接の答えは、常時録画して直前を遡れる機能を使うこと。好プレイは予告なく起きるため、起きてから録画開始では間に合わない。ShadowPlayのInstant ReplayとMedalのクリップ機能がこの用途に強い。
ShadowPlayのInstant Replayは、直近の一定時間(例として60秒、ユーザーが調整可能)を常時バックグラウンドでバッファし続け、好機の瞬間を遡って保存する仕組みだ。連続したバッファを後から切り出すため、撮り逃しが起きにくい。MedalもPC/モバイルで直近15/30/45/60/120秒を即時保存でき、最長20分まで設定できる。違いは共有のしやすさで、Medalは編集・共有に特化している一方、無料だと共有アップロードが2分までという制限がある。ローカルに残すだけならMedalの自由度は高く、長尺をそのまま共有したいならプレミアムかOBS録画+別途アップロードが現実的だ。
切り抜きを「上達のための教材」として使うなら、漫然と保存せず、勝ち/負けが決まった瞬間に絞って残すと後で効く。プレイ全体の体系的な伸ばし方はVALORANT完全ガイドから各専門記事へ辿れる。録画ツールはあくまで、その学習サイクルを回すための入り口だ。
よくある質問(FAQ)
Q. 配信もしたいのですが、録画と兼用できますか? A. OBS Studioは配信と録画の両方に対応しており、リアルタイムキャプチャ・シーン合成・エンコード・配信を1つでこなせます。配信しながら高画質のローカル録画を別途残す運用も可能です。配信予定があるなら、最初からOBSを土台にしておくと移行コストがかかりません。
Q. GeForce GPUを持っていません。ShadowPlayは使えますか? A. 使えません。ShadowPlayはGeForce GPU(GTX 600シリーズ以上)が必須で、AMD/Intel GPU環境では選択できません。その場合はOBS(GPU不問、CPUエンコードも可)かMedalを検討してください。OBSはお使いのGPUに応じてQuickSyncやAMFといったハードウェアエンコードを選べます。
Q. 録画するとfpsが落ちて撃ち負けます。どうすれば? A. まずエンコーダがハードウェアエンコード(NVENC等)になっているか確認してください。ソフトウェア(x264/CPU)のままだと負荷が高くなりがちです。それでも落ちる場合は環境依存の可能性があるため、録画ありなしでfpsを比較し、解像度やビットレートを下げて様子を見ます。設定全体の最適化は画質と表示設定の最適化も併せて確認してください。
出典
- OBS Project 公式KB「Hardware Encoding」(https://obsproject.com/kb/hardware-encoding)
- OBS Forums「NVIDIA NvEnc Guide」「Best NVENC Settings For Local Recordings」「Nvenc CQP Recording settings for Youtube 1080p」(コミュニティ推奨値・目安として参照)
- Wikipedia「Nvidia ShadowPlay」(NVIDIA公式仕様引用)
- NVIDIA GeForce Forums「Instant Replay vs. Record」「How ShadowPlay affects your performance」(性能影響の実測幅・ユーザー報告)
- Medal Support「Video Quality Settings Guide」「Getting to know Medal’s settings」/ Medal.tv Features
- ※本文中の録画設定値・容量は公式仕様とコミュニティガイドに基づく目安です。一次実測値は環境依存のため、実測値は順次追加します(現状は公式値/目安)。

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